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- 代表ごあいさつ
新潟PUSH代表の高橋昌です。新潟PUSHのホームページにお越しいただき、ありがとうございます。
私は、今日まで小児心臓血管外科医として大勢の心臓病の子供達のいのちを支える仕事に携わってきました。一方で、私たち小児心臓病の専門家のいる病院に到着する前に、失われる子どもたちのいのちがとても多い、この事実を前に、自分たちでできることが、もっとあるのではないかと思っていました。今、心臓突然死は日本で年間およそ7万人。1日約200人の方が亡くなっているのです。
日本では通報から救急車が病院に到着するまでに平均8分を要します。心臓突然死の多くを占める心臓の不整脈(心室細動)は、倒れてから1分ごとに救命率は10%低下します。つまり、倒れてから救急隊が到着するまでの8分間に、何も心肺蘇生がなされないと、救急隊到着時点で約80%の方は助からないということになります。偶然その場に居合わせた人の手によって、救急隊が到着までの間に、どれだけの病院前救護(心肺蘇生)がなされているかが、倒れた人のいのちに大きく影響していることがお分かり頂けると思います。つまり、私たち医療者が病院で万全の体制で待機していても、救急隊員がどれだけ質の高い病院前救護の技術を持っていても、実は突然倒れた人の命を守るために一番大きな役割を果たしているのは、「たまたまその場に居合わせた」その多くは医療の専門家ではない、一般の皆さんであり、学校であれば生徒さんと先生なのです。
平成29年7月1日に、大阪ライフサポート協会を中心に活動しているPUSHプロジェクトの地域コア団体として「新潟PUSH」が発足しました。 PUSHプロジェクトでは、「少しの知識と一歩前に出る勇気があれば、命を助けることができるのだ」というコンセプトで、胸骨圧迫(心臓マッサージ)とAED(自動体外式除細動器)による簡易な心肺蘇生の普及を通じて、突然倒れた人を救命できる地域づくりを目指しています。また、学校における心肺蘇生教育の実施を促し「いのちを大切にするこころ」を育てるとともに、学校心臓突然死ゼロを目指して教育現場での子供達のいのちを守る取り組みを支援します。
基本45分間、授業の1時限に収まるPUSHコースは小学生でも心肺蘇生を楽しく学ぶことができるように工夫されています。原則として個人受講料も頂かないボランタリーな活動です。大阪ライフサポート協会PUSHプロジェクトは、新潟県内においては学校、あるいは様々な団体、企業などの心肺蘇生講習の入門編として、救急蘇生の裾野を広げる役割を果たそうと十日町市を中心にその活動を開始し、今回新潟PUSHの設立により、大阪ライフサポート協会の正式な地域コア団体として登録され、新潟県内全域でのPUSHコース開催を実現するべく、活動を開始しました。私たちは、PUSHコースの受講が、将来のアメリカ心臓協会(AHA)のBLS(一次救命処置)ヘルスケアプロバイダーコースなどの質の高い心肺蘇生講習を学ぶきっかけになればとも願っています。
私たち新潟PUSHでは、小・中・高校生や先生方、そして日頃医療に携わっていない多くの方に「胸をPUSH(胸骨圧迫)」「AEDのボタンをPUSH」「あなた自身をPUSH」の3つのPUSHメッセージが浸透し、突然倒れた人を救える地域づくりにつながるようにPUSHプロジェクトを新潟で推し進めてまいります。
新潟PUSHプロジェクトを是非とも多くの方にご理解いただき、積極的に活用いただければと思います。また、プロジェクトに協力して下さるサポーターの皆様の参加を心から歓迎します。学校心臓突然死ゼロ、突然倒れた人を救える地域づくりを是非ともみなさんと一緒に進めて参りたいと思います。
「教育で救えるいのち」がたくさんあります。医療・教育関係者の方も、そうでない方も、そう、みなさん自身が、勇気を持って、是非一緒に、一歩前へ。
新潟PUSH代表
高橋 昌